近年,画像編集ソフトウェアの普及により,ディジタル画像を容易に加工することができるようになりました.
画像の加工の形跡は人目には分かりづらい場合も多く,捏造された画像が論文や報道で使われていたという報告もあります.
そういった事態を防ぐためにも,画像を加工した痕跡を検出する研究が行われています.本研究では,加工方法の中でも,
画像内での部分複写(コピー&ペースト)の検出を対象としています.
主成分分析を利用した画素ブロックの特徴量により類似する画素を見つけ,複写領域に加えられた回転角度と反転の有無を推定します. 検出結果では,複写元と複写先の画素を画像上に色分けして出力します. 図1(a)の画像に対して,回転を伴う部分複写が行われた画像が図1(b)です. これを入力画像とすると,図1(c)のような検出結果が得られます.
図2のように,
回転とスケール変化に頑健なSIFT特徴量を用いて,
画像中の特徴点の対応(図2(b))をもとに
複写領域間のアフィン変換を推定します.
それを拡張し,反転の有無についても同時に推定を行い,
複写領域を検出します.
前項では回転と反転に対処していたのに対し,
本項の方法では回転・反転・スケーリングを含むアフィン変換を伴う部分複写を検出します.
検出結果の例を図3〜6に示します.
図3では,スケーリング・回転・反転が
同時に行われた部分複写の検出に成功しています.
また,図4のように,せん断変形を伴う部分複写も
検出することができます.
図5では,2つの部分複写を同時に検出し,
それぞれ検出結果となる画像((b), (c))を出力します.
これらの応用で,図6のように複数の入力画像が与えられた場合にも,
それらの画像間の部分複写を検出することが可能です.
スケーリング0.6〜1.4倍の範囲では,
実験で使用した画像中約90%の画像に対して
部分複写の検出に成功しました.