氏名: 早瀬 陽介
論文題目: ステレオビジョンを用いた視覚障害者のための障害検知
論文概要
背景と目的
視覚障害者の歩行支援器具として最も普及しているのは白杖である
が,検知できる範囲は足下の領域だけであり,白杖だけで十分であるとは言い難い.
より安全な歩行のためには,白杖の届く距離よりも遠方の障害物を事前に把握する必
要があり,さまざまな研究が行われている.従来の障害物検知システムの代表的なも
のは超音波センサやレーザセンサを用いたものであるが,前者は凹部の検出に弱い,
複数の障害物によりゴースト像が発生するなど,後者は散乱光(特に太陽光)の影響
を受けやすいといった問題点があった.そこで,本研究では障害検知システムとして
ステレオビジョンを用いた手法を提案する.凹部や凸部,また,白杖では検知できな
い頭高の障害物などを検出し,その距離を提示する.
障害検知システムの概要
- 進行方向に向けた3眼ステレオビジョンシステム搭載カメラから得た入力画像
を,距離画像に変換.
- 画像を幅5画素の領域に分割し,一つおきにその領域の画素に対する3次元空間
座標を
取得し,得られた点を距離値(z値)の昇順にソートする.
- ソート後の,隣り合う2点のz値の差が閾値以上の場合や,路面の点が欠如し
た部分を段差
などによる落ち込み(凹部)と考える.
- 次に,各点のx,y,zの値に対し10点ずつの移動平均を取り新たな点列のデー
タにする.
k‐曲率を用いて,路面と障害物(凸部)との境界の立ち上がりの部分や,凹
部による立下りの部分を
検出する.
- 3から4の操作を全領域に対して行い,結果を距離値とともに出力する.
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