従来の監視カメラは,視点が固定されているか周期的に左右に回転するだけであ る.このようなカメラは,得られた画像の分解能は高くなく詳細な情報が得られ ない.そこで,カメラの能動的な動作により追跡を行う必要がある.岡嶌らによる 研究では,複数のカメラを連携して複数移動物体を追跡する手法を提案している. しかし,移動物体の検出にフレーム間差分を用いているので,移動物体がカメラ に対して前後に動いた場合など移動物体の座標が正確に求まらない.そこで本研 究の目的は,移動物体の検出に,人物の特徴である肌色を抽出することで人物領 域を求め,複数のカメラを用いて複数の人物を追跡することである.
肌色領域を抽出するために入力画像をYUV422形式で取り込む.UV座標系において ある領域内の点を肌色領域とし(図1参照),肌色領域を抽出する.抽出結 果を図2に示す.
本研究では,カメラ4台を用いて行う.各カメラは,計算機とRS-232Cケーブルで 継っており,このケーブルを通じてカメラの制御を行う.また,各計算機はLAN で結ばれており,互いに通信を行える(図3参照).
物が円を描くように移動した追跡結果を図4に示す.各座標点の色はそ れを追跡したカメラの色に対応している. 図4から分かるように人物か らカメラまでの距離が最も近いカメラが追跡を行っていることが確認できた.ま た,各カメラが連携を行っていることも確認できた.移動物体の座標の精度も岡 嶌らの研究に比べて,向上していることが確認できた.
図1 UV座標上での肌色領域 |
図2 抽出結果 |
図3 システム構成図 |
図4 実験結果 |