近年,バリアフリーが非常に重要視されているように,障害者に対
する支援システムの開発が望まれている.視覚障害者が環境を理解する上で有効な情
報として文字情報を取り上げ,それが多く提供されている看板を抽出することを本研
究の目的とした.
発表者が属する研究室では,文字情報抽出による視覚障害者用環境理解支援システム
の研究を行っている.しかし,現システムでセンサに利用しているカメラは視野が狭く
,必要な情報を提示している部分がセンサの視野に入らず,利用者に有効な情報を与え
られないといった問題点がある.
そこで本研究では,水平方向360度の視野を持つ,全方位カメ
ラをセンサとして利用することによりこの問題を解決する.
全方位カメラ画像(図1)から看板領域を抽出する方法は以下の通りである.まず看板の
下地が単色であるといった色情報を利用し,K平均による領域
分割で画像内の単色領域を発見する.それと同時に,看板が長方形であるという特徴
を利用して,画像を二値化してエッジを抽出し,ハフ変換することにより画像内の
直線を発見する.その際,地面に垂直な直線は,全方位カメラ画像中で画像
中心を通る放射上にのびる直線に写像される.そのため,ハフ変換の際に画像中心
を通る直線のみを抽出する.そして,求めた直線が単色領域の境界を通っていると
き,その直線を看板の両端(図2)とし看板候補領域を抽出する.抽出した看板候補領域
の
方向を利用者に伝え,その方向を利用者が比較的解像度の高いカメラで撮り直すこ
とにより文字情報を取得する.
|
|