ステレオカメラでは2枚の画像間の対応付けを行い,奥行き情報を得る.しかしオクルージョンが生じていると 対応点が存在しないので,奥行き情報は得られない.
一方,人間の視覚系に関する研究では,眼球が回転するときに生じる視差が奥行き推定の手がかりになることが 報告されている.山本らの研究では,眼球運動をカメラの回転制御に置き換え,1台のカメラのみで相対的な 奥行き推定を行う手法を提案している.
本研究では単眼での奥行き情報を利用したステレオカメラを構成する.処理の手順としては,単眼,ステレオの 順に奥行き推定を行い,その結果を統合する.この手法の特徴は,オクルージョン領域の奥行き推定が可能になる こと,ステレオ対応探索範囲が制限され,対応付けが簡単になることである.
実際にパン・チルター付きCCDカメラを2台用意し,システムを構成した.オクルージョンが生じる環境でこのシス テムを実験した結果,近距離のオクルージョン領域について奥行き推定ができること,ステレオ対応探索範囲の 絞りこみが行えることを確認した.
図1 左カメラ画像 |
図2 右カメラ画像 |
図3 左ステレオ対応探索用画像 |
図4 右ステレオ対応探索用画像 |