[背景と目的]
現在,多くの学校では授業の改善・評価を目的として,
受講者の授業に対するアンケートが実施されている.
しかし,アンケートだけでは,授業の改善・評価するのに十分な情報が得られないと
考えられる.
そこで,本研究では画像処理によって,授業中の風景を撮影し,
居眠りしている受講者を検出を検出する.
これによって,授業中の受講者の態度が把握でき,
授業の改善・評価の新たな手段として用いることが可能である.
[居眠り検出方法]
ビデオカメラで撮影した講義風景を観察した結果,
うつ伏せで寝ている人の割合が80%以上であったので,うつ伏せで寝ている人を検出
対象とする.
まず,背景を除去するために,ビデオカメラで撮影した講義画像を1秒間隔でのフ
レーム間差分をとり,
各画素についてその絶対値の総和を求め,その値の小さい部分を除去する.
背景となる部分は動きが少ないため,これによって背景を除去できる.
次にうつ伏せで寝ている人の頭部を検出するために,一定時間動かない黒色領域を
検出する.
これは,一定時間のフレーム画像すべてについて黒色領域を抽出し,
すべてのフレーム画像で黒色と判断された画素のみを抽出することによって検出され
る.
頭部以外の黒色領域も抽出されるので,まず領域の面積が大きすぎる部分と小さすぎ
る部分を
除去する.
さらに,頭部は円形に近いので,領域の円形度を計算し,円形に近くない部分を除去
する.
その結果居眠りしている受講者のみを検出する.
[実験結果]
図1のような授業中の風景を入力画像として実験をおこなった.
その結果,図2のように居眠りしている受講者を検出できた.
この講義10分間の画像からうつ伏せで寝ている人が8人中6人,肘をついて寝ている人
1人を検出
することができ,
誤検出は2ヶ所であった.
また,別の講義室でも同様の実験をおこない,居眠りしている受講者を検出できるこ
とを確認した.
これらの実験により,うつ伏せでの居眠りや肘をついての居眠りが検出可能であるこ
とが確認できた.