近年,情報化社会の進展により,インターネットやデジタル機器などを用いて画像デー
タを扱う機会が増えつつある.その様な光景はオフィス,学校はもとより家庭においても
しばしば見受けられる。
また,記憶装置の大容量化に伴い,一般的利用者が多量の画像を蓄積することも
一般化している.このような状況から,ユーザの知識レベルや画像の種類に
関係なく,多量の画像データを自動的に整理・
体系化し,簡便に検索を行いうるシステムの必要性が高まっており,
画像検索についての研究が活発に行われている.
本研究では,一般的なコンピュータ利用者による任意画像を対象とした検索シス
テムを想定している.そのため,
システムの利用者は画像の特徴量に関する専門知識がなく,
また,対象とする画像も任意であるため,
画像に関する事前知識を用いることが不可能,といった特徴を持つ.
このため,従来の研
究のような特定の画像データベースに特化した検索特徴量の生成方法は適用できず,
対象となる画像に合わせて適当な検索特徴量を自動的に生成することが重要とな
る.
そこで,本研究では検索キーとなる
特徴ベクトル(検索特徴量)を自動的に生成する手法として砂時計型ニューラルネッ
トの使用を提案し,その有効性について検証した.生成する
検索特徴量は,多数の検索結果をユーザに理解しやすい形で提示できるように可視
化するため,低次元のベクトルとした.
実験には5層型の砂時計型ニューラルネットを使用した.入力には,画像を
HSV表色系に変換したデータから,Haar Wavelet変換による多重解像度解析を行っ
た結果と色相のヒストグラムを与えて学習させ,得られた検索特徴量の評価を
行った.また,自己組織化マップ,
主成分分析に対しても同じ入力を与えて情報の圧縮を行い,情報集約能力の比較
を行った.
その結果,砂時計型ニューラルネット,自己組織化マップ,主成分分析の3手
法に基づく検索特徴量の生成手法に関し,各手法の有効性を定量的に比較評価
し,手法間の相違を明確にした.
提示画像 |
類似度の高い画像上位3枚 |